HOUSEミュージックの歴史は、単なる音楽ジャンルの進化ではない。それは、人々が集い、音楽を分かち合い、コミュニティを形成してきた「パーティー」の歴史でもある。今回は、世界で最も歴史が古く、今もなお続く伝説的なHOUSEイベントであるChosen Few Picnic & Festivalについて掘り下げてみたい。
最も歴史の長いHOUSEパーティーは?という質問に、SHELTERやBody & SOULと答える人は多いだろう。かくいう私もその1人だった。Body & SOULは1996年に、SHELTERは1991年にそれぞれ産声を上げたが、それよりも古い1990年にChosen Few Picnicは誕生した。
1977年に結成された伝説的なDJ Collective「The Chosen Few DJ’s」が、仲間内でバーベキューパーティーとして始めたのが1990年。以来、毎年7月にCHICAGOで開催されるこのイベントは、口コミで評判が広がり、今では数万人が集まる世界最大級のHOUSEミュージック・フェスティバルへと発展した。
このイベントが生まれた背景には、CHICAGO HOUSEの創成期における深いコミュニティの絆がある。
1980年代後半、伝説的なCLUB「The Power Plant」が閉鎖され、HOUSEミュージックのシーンは転換期を迎えていた。当時、CHICAGOのHOUSE DJたちは、商業的な成功を求めがちな新しいCLUBシーンに馴染めず、音楽と純粋なコミュニティを求める場所を失いつつあった。
このような状況の中、彼らは「昔のように、気兼ねなく集まって音楽を分かち合える場所を作ろう」と決意する。こうして1990年、友人やDJたちがCHICAGOの公園に集まって始めたのが、この「ピクニック」だった。商業目的ではなく、コミュニティの結束を強めるという、HOUSEの最も原始的な精神に基づいて誕生した。
この特別なイベントを主催しているのは、1977年に結成されたDJ Collective「The Chosen Few DJ’s」。彼らはCHICAGO HOUSEのオリジネーターであり、そのメンバーはまさにHOUSEミュージックの生き字引。今なお第一線で活躍している。
彼らは、DJとしてだけでなく、プロデューサーとしても数々の名曲を世に送り出し、CHICAGO HOUSEが世界に広まる礎を築きあげた。
「Chosen Few Picnic」が単なるフェスティバルと一線を画すのは、そのステージに立つゲストDJの顔ぶれからも見てとれる。このイベントは、世界中のHOUSEミュージックのトップDJたちが敬意を払い、出演を熱望する特別な場所となっている。
過去には、Masters At WorkのLouie VegaやKenny Dope、Kerri Chandler、Osunlade、Ron Trentといった、HOUSEシーンのレジェンドたちが多数出演。彼らは、このイベントが持つHOUSEの起源とコミュニティへのリスペクトを示すために、頻繁にこの祭典に参加している。
「Chosen Few Picnic & Festival」は、単なるパーティーではなく、CHICAGO HOUSEという文化がどのように生まれ、成長し、そして今もなお生き続けているかを体現する、かけがえのない場所となっている。
CHICAGO HOUSEの創成期を支えたオリジナルメンバーが、世代を超えて集うファンと交流する、まさにHOUSEミュージックの「同窓会」であり、「家族の集い」。初期HOUSEの精神である「家族的なコミュニティ」が、このピクニックには色濃く残っている。
彼らが奏でる音楽は、HOUSEの黎明期から続く「魂」そのもの。このイベントは、HOUSEの歴史を肌で感じ、その温かいコミュニティを体験できる、HOUSEカルチャーの聖地の1つであろう。
OFFICIAL SITE: https://chosenfewdjs.com/
