世界のダンスミュージックシーンを牽引するメディア「Resident Advisor」が、このたび1,000回目を迎えるPodcastシリーズを記念し、素晴らしい「秘宝」を公開した。それは、HOUSEミュージックのゴッドファーザー、Frankie Knucklesが残した、これまで一度も世に出ることのなかった未発表DJ MIXだった。
今回公開されたのは、Frankie Knucklesが友人や家族に個人的に配っていたという、手描きのライナーノーツ付きカセットテープの音源。彼のプライベートアーカイブから発掘され、Frankie Knuckles Foundationの協力のもと、特別にデジタル化された。
音源は、1989年と1996年の2つの時期にわたるもので、そのサウンドを聴くことは、HOUSEミュージックの歴史をタイムトラベルするような体験となる。
この時期は、HOUSEミュージックが世界に広がり始めたばかりで、まだ多くの派生ジャンル(DRUM’N’BASS、UK GARAGE、TECH HOUSEなど)が生まれる前の「原始的」な時代だった。彼のMIXは、当時のCLUBカルチャーがどれほどピュアで、音楽が持つ生命力に満ちていたかを物語っている。
この頃にはHOUSEは一つの確立したジャンルとなり、洗練されたサウンドが世界中でプレイされていた。このMIXからは、その後の時代を予見させるような、より深みと広がりのあるサウンドが感じられる。
このMIXの価値は、単に「未発表」であることだけではない。それは、Frankie Knucklesというアーティストが、なぜ「ゴッドファーザー」と呼ばれるのか、その理由を改めて教えてくれるからに他ならない。
彼がWarehouseで作り上げたサウンドは、単なるビートの集合体ではなかった。そこには、すべての人を受け入れ、解放する「楽観主義(optimism)」の精神が宿っていた。この未発表MIXは、時代を超えて変わることのない、その温かく希望に満ちたフィーリングをリスナーに直接届けてくれる。
テクノロジーが進化し、あらゆる音楽にアクセスできる現代だからこそ、この「原始的」なMIXは、私たちにHOUSEミュージックの原点、そしてCLUBカルチャーが持つ本来の喜びを思い出させてくれる。
ぜひ、この歴史的な音源を聴き、HOUSEの「魂」を感じてみてほしい。
